アルプススタンドを揺らす吹奏楽団のブラスサウンド。ベンチに入れなかった3年生たちが声を枯らすメガホンの地鳴り。「熱闘甲子園」が長年愛されてきた理由の一つは、グラウンドの外側にある情熱を決して置き去りにしない姿勢だ。
背番号をもらえなかった選手が、夜遅くまでレギュラー陣の打撃投手を務めたエピソード。スタンドで巨大な絵文字をつくり上げる部員たちの汗。娘や息子の姿を食い入るように見つめる保護者の震える手。カメラは甲子園という空間全体に満ちる無数の「祈り」を捉える。試合終了のサイレンが鳴り響いたとき、スタンドとグラウンドが一体となって流す涙の理由を、番組は言葉少なに、だが雄弁に語りかける。