公用車で人身事故や物損事故を起こした際、法律上の責任はどのように処理されるのか。ここは一般に最も誤解されやすいポイントです。
公務員が公務の執行中に公用車で他人に損害を与えた場合、被害者に対する直接の損害賠償責任を負うのは、国家賠償法第1条第1項に基づき「国または公共団体(自治体)」となります。判例上、公務員個人が被害者に対して直接の民事上の損害賠償責任を負うことは原則としてありません。
ただし、運転していた職員が完全に免責されるわけではありません。以下の3つの側面から厳格な責任追及が行われます。
- 求償権の行使:公務員に「故意または重大な過失(重過失)」があった場合、自治体側は職員個人に対して支払った賠償金の返還を請求(求償)できます。飲酒運転や居眠り運転、著しい速度超過などがこれに該当します。
- 刑事責任:過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪など、個人の刑事責任は一般ドライバーと全く同様に問われ、起訴されれば前科がつきます。
- 懲戒処分:自治体の懲戒基準に基づき、免職、停職、減給、戒告といった人事処分が下されます。