この現象の起点となったのは、ある無名アーティストが深夜にアップロードしたわずか15秒の弾き語り動画だった。アコースティックギターの爪弾きに乗せて歌われた剥き出しの感情は、アルゴリズムの波に乗り、瞬く間に数百万回再生を記録。巧妙に作り込まれたポップスにはない「生の息遣い」が、画面の向こう側にいる孤独な個人にダイレクトに突き刺さったのだ。
リスナーたちが反応したのは、歌詞が持つ圧倒的な当事者性だ。誰かに認められたい、誰かの役に立ちたいという承認欲求が極限まで煮詰まった結果、「誰かのために生きる」という究極の選択肢が提示された瞬間だったと言える。