フレンチキスの語源由来は、20世紀初頭の第一次世界大戦にまで遡ります。フランス戦線に赴いたイギリスやアメリカの兵士たちが、フランス人女性たちの情熱的で開放的なキスのスタイルを目の当たりにし、母国へ持ち帰った際に「フランス風のキス」として広めたのが始まりです。当時のアングロサクソン文化圏では、公の場や日常で舌を使うような激しいキスはタブー視されていたため、彼らにとってフランス人の愛撫は強烈なカルチャーショックでした。
では、なぜ日本ではディープキスとの違いが曖昧になり、正反対の「軽いキス」として定着したのでしょうか。有力な説とされているのが、昭和中期の映画やメディアにおける翻訳のニュアンス変化です。当時、露骨な性描写を避けるメディアが「フランス映画のように小粋でおしゃれなキス」というイメージを前面に出して紹介した結果、いつの間にか「ライトで爽やかなキス=フレンチキス」という独自の和製英語的解釈が日本全土に定着しました。
本来、舌を入れるキスの名前の元祖こそがフレンチキスであり、日本で使われているディープキスという言葉は、その行為の深さを強調するために後から普及した表現と言えます。