1983年3月にリリースされた『想い出がいっぱい』は、あだち充原作のフジテレビ系アニメ『みゆき』のメインテーマソングとして起用された。作詞・阿木燿子、作曲・鈴木キザサブローという最高峰の制作陣によって生み出されたこの楽曲は、チャートを駆け上がり、累計40万枚以上の大ヒットを記録する。
だが、このヒットは決して偶然の産物ではない。プロデューサー陣が最もこだわったのは、切なさと爽やかさが同居する「声」の質感だった。なかざわけんじが持つ少年のようなピュアさと、大人の哀愁を併せ持つ独特のハイトーンヴォイスが、阿木燿子の紡ぐ叙情的な歌詞に見事に合致したのである。
アニメソングの枠を超えたJ-POPの金字塔
当時は「アニメ主題歌は子供向け」という固定観念がまだ強く残っていた時代だ。しかし、『想い出がいっぱい』はその壁を軽々と打ち破った。中高生から大人まで幅広い層に受け入れられ、歌番組の『ザ・ベストテン』や『夜のヒットスタジオ』などにも次々と出演。H2Oの名は瞬く間に全国へ浸透していった。