日本の吹奏楽文化を語る上で、淀川工科高校を長年率いた故・丸谷明夫氏の存在を外すことはできない。「丸ちゃん」の愛称で親しまれた彼の指導理念は、技術の追求にとどまらず、奏者一人ひとりの人間性を育むことに重きを置いていた。その温かくも厳しい眼差しと音楽への情熱は、今なお全国の指導者たちの道標であり続けている。
一方で、クラシック音楽界の第一線で活躍する指揮者の佐渡裕氏と、彼が率いるシエナ・ウインド・オーケストラの取り組みも強い輝きを放つ。プロの吹奏楽団として圧巻のパフォーマンスを誇る彼らは、ステージと客席の垣根を取り払い、観客と一緒に演奏する体験型演出などを通じて、吹奏楽の魅力をダイナミックに更新し続けている。名指導者たちのレガシーと最前線のプロによる革新が交錯する場所で、新しいウインド・ミュージックが産声を上げている。