この比類なきカットの誕生は、19世紀初頭のフランスにまで遡る。名前の由来となったのは、当時の政治家であり外交官、そしてロマン主義文学を代表する作家でもあったフランソワ=ルネ・ド・シャトーブリアン子爵だ。美食家としても名を馳せた彼のために、お抱えの料理長であったモンミレイユが考案した特別なステーキ料理がすべての始まりだったと伝えられている。
当時のフランス料理において、極厚にカットした牛肉の中心部をジューシーに焼き上げるのは至難の業であった。モンミレイユは、中心の最高部位を別の薄い肉で挟んで焼き、外側の肉を犠牲にして内側の旨味と水分を閉じ込めるという独創的な調理技法を生み出した。この贅沢極まりない調理法とともに広まった肉のカットはやがて貴族社会の羨望の的となり、現代に至るまで最高級ステーキの代名詞として受け継がれている。