物語後半、視聴者の心理的負荷を決定的なものにするのが、助六の娘である小夏の出産と、その息子の「父親」を巡る謎だ。誰の子なのか。血縁関係のうやむやさと、幼少期から小夏を育ててきた八雲との間にある曖昧な距離感が、得体の知れない不穏さを醸し出す。
父であり、師匠であり、かつて両親の死に関わった男。そんな八雲に対して小夏が抱く愛憎は、単なる家族愛の域を遥かに踏み越えている。作中で明確な回答が提示されないからこそ、視聴者の脳内には最悪の推測――近親相姦的あるいは倫理的タブーの匂いがつきまとう。このモヤモヤとした居心地の悪さこそが、トラウマ級の「不快感」として記憶に刻まれる要因だ。