スーパーの棚やレシピ本で頻繁に見かける「シーチキン」と「ツナ缶」。両者を同じものとして混同しているケースは極めて多いですが、食品表示基準および商標管理の観点からは明確な境界線が存在します。
結論から述べると、「ツナ(Tuna)」はマグロやカツオなどのスズキ目サバ科に属する魚肉加工品全般を指す一般名詞です。これに対し、「シーチキン」は静岡県静岡市に本社を置くはごろもフーズ株式会社が1958年に商標登録した独自のブランド名を指します。他メーカー(いなば食品、マルハニチロ、極洋など)が製造・販売する同種の缶詰は「ツナ缶」であり、法的に「シーチキン」と名乗ることはできません。
文房具における「セロハンテープ(一般名)」と「セロテープ(ニチバンの登録商標)」、あるいは「ステープラー」と「ホッチキス」の関係と同様に、ブランドの高い認知度と圧倒的な市場シェアによって商品名そのものがカテゴリーの代名詞として社会に定着した典型例です。
はごろもフーズの公式企業史によると、同社の前身である後藤缶詰所が1931年に創業して以来、徹底した品質管理と国内流通網の開拓を推進してきました。その結果、国内ツナ缶市場において約半数以上のシェアを握り続け、「ツナ=シーチキン」という強固なパブリックイメージを形成するに至っています。