華やかなトレンドの裏で、帝国データバンクなどの企業倒産集計でも示されている通り、街のケーキ屋や中小洋菓子店の廃業・倒産は過去最高水準で推移しています。多くの街の洋菓子屋閉店理由を紐解くと、単なる人気低下ではなく、極めて構造的な3つの壁が存在します。
第一に、「原材料費およびエネルギーコストの記録的上昇」です。2026年以降続くバター、生クリーム、卵、小麦粉、チョコレート、さらには包装資材や電気代の高騰は、個人洋菓子店の利益を容赦なく削り取っています。1個400円台で販売していたショートケーキを、コストに見合わせて700円に値上げすれば、長年の地域住民はコンビニスイーツや量販店へと流れてしまいます。
第二に、「お菓子屋さん修行と経歴の世代間ギャップ」です。かつてのように「有名ホテルや本場フランスで10年以上の厳しい下積みを経て独立する」という職人キャリアモデルは、長時間の過酷な労働環境と低賃金が敬遠され、若手の担い手不足に直面しています。結果として事業承継が進まず、店主の高齢化とともに幕を閉じる老舗が後を絶ちません。
第三に、「厳格化するコンプライアンスと衛生管理基準」です。開業時に必須となるお菓子屋さん資格と許可(食品衛生責任者や菓子製造業許可)に加え、HACCPに沿った衛生管理の完全義務化やアレルゲン表示の厳密化など、個人事業主にかかる事務的・設備的負担は年々重くなっています。これらに適応できなかった旧来型店舗が市場から退出を余儀なくされているのです。