物語の核となる主役の老舗料理長を演じるのは、国際的な映画賞でも高い評価を受ける名優・役所広司だ。今回彼が挑むのは、40年にわたり刃物を握り続け、自らの人生すべてを料理に捧げてきた頑固一徹な凄腕職人である。
撮影関係者によれば、役所は役に没入するあまり、クランクインの半年前からプロの料理人に弟子入りしたという。桂剥きや魚の三枚おろしなど、吹き替えを一切使わずに演じ切るその手元は、長年の鍛錬を経た職人そのものだ。包丁を握る手先のわずかな震えや、包丁研ぎの音一つに宿る狂気的な執着。役所広司の圧倒的な演技力は、観る者を息をのむ緊張感へと引きずり込む。