神奈川大学の保養施設を語る上で欠かせないのが、かつて多くの神大生が訪れた「箱根保養所」や長野県の「富士見高原研修所(セミナーハウス)」の存在です。箱根の豊かな温泉地や、八ヶ岳の麓に広がる富士見高原の大自然は、ゼミナールの集中講義、体育会系クラブの強化合宿、スキー実習などの拠点として絶大な人気を誇っていました。
しかし、これらの直営施設は近年までに順次役目を終え、閉鎖や売却などの再編が行われました。その主な閉鎖理由として挙げられるのが以下の3点です。
第1に、建物の老朽化と耐震改修・大規模修繕コストの増大です。昭和から平成初期にかけて建設された宿泊施設は、バリアフリー化や最新設備の導入に莫大な費用が必要となり、大学の財政配分において優先順位が見直されました。
第2に、学生の合宿ニーズや旅行スタイルの多様化です。かつてのような大規模な集団宿泊研修から、個人旅行やアクセスの良い都市近郊での小規模研修へと学生の行動様式が変化し、固定拠点を年間維持する稼働効率が低下しました。
第3に、大学全体のキャンパス戦略の転換です。横浜キャンパスの機能強化やみなとみらいキャンパスの開設など、都市型教育環境への投資が重点化されたことで、遠隔地の遊休施設を整理する経営判断が下されました。