物語の主人公である緑谷出久(デク)との関係性は、作品全体を通じた最大の感情的推進力だ。出会いの瞬間からデクの無鉄砲な優しさを理解し、彼の「デク」という蔑称を「頑張れって感じ」と肯定的な意味へと塗り替えたのは彼女だった。巨大な重圧を一人で背負い込み、ボロボロになりながら暗闇を彷徨うデクを引き戻したのは、雄英高校の屋上で叫んだ彼女の魂の演説だった。
「ヒーローだって辛い時がある」。その言葉は、社会の期待と恐怖に押し潰されそうになっていたデクだけでなく、崩壊寸前だった世界そのものを救い出した。二人の間に流れる信頼とほのかな慕情は、戦火の中で紡がれるからこそ一層の切なさと気高さを放つ。互いに高め合い、背中を預け合う対等なパートナーシップこそが、現代のアニメファンを惹きつける大きな要素となっている。