本場所が終わると、Web上のコミュニティやSNSでは好角家たちによる「幕内番付予想詳細まとめ」が活発に投稿されます。近年のデータ解析や過去の編成傾向を分析した予想の精度は極めて高く、幕内上位から中位にかけては9割以上の的中率を誇ることも珍しくありません。
しかし、どれほど緻密な予想であっても完全に読み切れないのが「番付運(ばんづけうん)」と呼ばれる要素です。
例えば、同じ「前頭5枚目で8勝7敗」の力士がいたとしても、上位陣に休場や大敗が続出して枠が大幅に空いた場所では一気に前頭筆頭まで駆け上がることがあります。逆に、上位陣が全員勝ち越して壁が厚い場所では、半枚しか上がらないという事態も生じます。さらに、東西のバランス調整や同部屋対決を避けるための配置上の都合など、職人肌の審判委員による裁量が働く領域が必ず残されています。
「番付は生き物」と呼ばれる所以は、単なる勝ち星の引き算ではなく、その場所ごとの力士全体の力関係とドラマが織り込まれているからに他なりません。
【プロの結論】大相撲観戦を100倍深く楽しむための判断基準
番付発表日をただの「ニュース」として消費する人と、「土俵の伏線」として読み解く人では、本場所を観戦した際の感動の深さに決定的な差がつきます。
▼ 番付発表を深く楽しむのに向いている人: 力士個人の勝敗だけでなく、部屋の歴史、力士の年齢や怪我の背景、幕下から這い上がってきた苦労の軌跡といった「人間ドラマ」に共感できる人。番付発表日の朝に幕下上位の昇降までくまなくチェックすることで、初日からの十両中継の熱量が激変します。
▼ 表面的な勝敗だけで満足してしまう人(注意が必要な見方): 「誰が優勝したか」「横綱が勝ったか負けたか」という結果論のみを追う見方です。それ自体もスポーツ観戦の一形態ですが、大相撲が400年以上受け継いできた「身分階級の昇降劇」という最大のエンターテインメントを見落としてしまうことになります。