1980年代から1990年代にかけて、彼は日本の財政・金融政策の核心にいた。大蔵省での実務経験を経て、野村総合研究所で発表した数々のマクロ経済レポートは、金融市場を動かすほどの絶大な影響力を誇った。当時の市場関係者は、彼の論考を一秒でも早く読み解こうと固唾をのんでいた。
その後、早稲田大学で教鞭を執り、アカデミズムの世界でも異彩を放つ。しかし、キャリアの絶頂期に突如として見舞われた一連のスキャンダル報道が、彼の露出をテレビや大手紙から一瞬にして奪い去った。バッシングの嵐の中で何が語られ、何が意図的に切り捨てられたのか。単なるゴシップ記事の枠組みでは捉えきれない、当時の政治的緊張関係とメディアの過剰反応についての再検証がいま求められている。