薄暗い路地を抜け、屋台村の敷地内に足を踏み入れると、一瞬で感覚が麻痺する。鉄板から立ち上る白い煙、フライパンを叩くカンカンという甲高い音、そして多言語が飛び交う喧騒。頭上に吊るされた色鮮やかなランタンが、酔客の顔を赤や黄に染め上げる。
ここには整然としたマニュアルも、澄ました接客もない。店員はタガログ語やタイ語で威勢よく声を張り上げ、隣のテーブルに座った見知らぬ客同士が、いつの間にかグラスを合わせている。バンコクのカオサン通りや台北の士林夜市をそのまま東京のど真ん中に移植したかのような泥臭さが、ここには充満している。