だが、華やかなブームの裏には厳しい現実も横たわっている。近年の地球温暖化に伴う海水温の上昇は、日本一の昆布生産地である北海道沿岸に深刻な影響を及ぼしてきた。天然の真昆布や利尻昆布の漁獲量は10年前と比較しても激減しており、原料確保の難易度は跳ね上がっている。
こうした危機に対し、現場の生産者や佃煮メーカーはただ手をこまねいているわけではない。2026年には、AIを活用した海水温予測に基づく陸上養殖技術や、環境負荷を抑えたサステナブルな沖合養殖モデルが本格稼働を始めた。また、これまで規格外として廃棄されていた昆布の葉先や根元部分を独自の切断・軟化技術で加工し、風味を損なわずに高品質な佃煮へと昇華させる「アップサイクル佃煮」の取り組みも広がっている。
「資源が限られているからこそ、一枚の昆布を削ぎ落とすことなく命を吹き込みたい」。小樽で創業100年を超える老舗の四代目が語る言葉には、伝統を守り抜くという力強い覚悟と、変化を受け入れる柔軟性が宿っている。