設計を手掛けた工学博士・野田俊彦をはじめとする当時の建築陣が追求したのは、単なる実用性にとどまらない造形美だった。トップに掲げられたクラシカルなドーム状の屋根、半円アーチをモチーフにした装飾的な窓枠、そして頂部へと滑らかに絞り込まれていく美しい比率。
機能性を極限まで追求した結果として生まれた「機能美」と、当時のアール・デコ調の流行を感じさせるエレガントなディテールが、見事な調和を見せている。広角レンズを構えるカメラマンたちにとって、刻一刻と表情を変える夕暮れ時のシルエットは絶好の被写体だ。太陽が西の空に沈み、茜色のグラデーション背景に黒いシルエットが浮かび上がる瞬間、この建築は完璧な芸術作品へと変貌を遂げる。