渋沢栄一の家系図を辿ると、昭和から平成、そして令和に至る日本の文化界を牽引した名優やクリエイターたちの名が次々と登場する。代表的な存在として知られるのが、日本のサブカルチャーやフランス文学界に不滅の足跡を残した作家・評論家の澁澤龍彥だ。彼が放った異端の美学は、叔祖父にあたる渋沢栄一の現実主義的な実業家像とは一見対極に思えるが、「既存の枠組みに捉われない革新性」においては驚くほどの共通点が見出せる。
さらにクラシック音楽界に目を向ければ、現代音楽の礎を築いた作曲家の諸井三郎や諸井誠といった重鎮たちも、渋沢の血を引く一族の出身だ。実業のトップランナーであった一族は、同時に日本文化の近代化を陰で支えるパトロンであり、自らもまた稀有な表現者たちを輩出する土壌となっていた。