水上都市を舞台にした映像作品を語る上で、外すことができない金字塔が存在する。監督の湯山邦彦が手がけ、今なお色褪せない名作として語り継がれる『劇場版ポケットモンスター 水の都の護神 ラティアスとラティオス』だ。イタリアのヴェネツィアを徹底的にロケハンして構築された世界観は、アニメーションの歴史に確固たる足跡を残した。
石畳の路地を駆け抜けるゴンドラ、陽光を浴びて煌めく水面、そして風を切って飛翔する守護神たち。綿密なロケーション取材から生まれた息をのむ映像美と、胸を締め付けるエモーショナルなストーリーテリングは、良質なアドベンチャーの指標として今もクリエイターたちに刺激を与え続けている。あの時スクリーン越しに感じた潮風の匂いこそが、多くの映画ファンの原体験となった。