歌舞伎の歴史において、成駒屋の名は常に特別な響きを持ってきた。六代目中村児太郎としてその名跡を継承した彼は、幼少の目線から大先輩たちの背中を見つめ、芸の神髄を体で覚えてきたという。女方という特殊で繊細な表現様式は、単に女性を模倣することではない。男性が演じるからこそ立ち現れる「抽象化された女性美」の極致を追求する過酷な道だ。
彼が重んじるのは、古典の型を崩さずにいかに現代の観客の呼吸と同調させるかという点にある。着物の裾さばき一つ、指先のわずかな震え一つにまで神経を研ぎ澄ませる緻密な役作り。その背景には、幼い頃から歌舞伎という伝統芸能の血脈の中で育まれた、圧倒的な自負と責任感が宿っている。