愛媛県の伊予弁を象徴するのが「おいでん」という表現です。「いらっしゃい」「おいで」という意味を持ち、松山周辺などで「ようおいでたな(よくいらっしゃいましたね)」や「こっちにおいでん(こっちに来てごらん)」といった形で使われます。母音を柔らかく伸ばす発音が多いため、耳にした相手を包み込むような圧倒的な癒やし効果を放ちます。
それとは対照的に、力強く男性的な響きで全国に知られるのが高知県の土佐弁です。歴史ドラマや幕末作品でおなじみの「〜ぜよ」は、「〜だよ」「〜だぞ」と強い決意や断定を表す助詞。「日本の夜明けは近いぜよ」という坂本龍馬の名台詞はあまりにも有名です。現代の高知市街地で若者が日常的に「ぜよ」を連発することは少なくなりましたが、感情が高ぶった瞬間や年配層の語り口、ユーモアを交えた会話では今なお生きています。
土佐弁の真骨頂は、進行形「〜しゆう(今まさにしている)」と完了形「〜しちゅう(すでにし終わっている)」を厳格に使い分ける文法体系と、「好きやき、わしについて来い(好きだから、俺についてこい)」のようなストレートで男気あふれるセリフ回しにあります。