二人の関係を深く理解する鍵は、友情の深さと同時に、リアリストとしての政治姿勢の違いを把握することにあります。
龍馬はどこまでも自由な発想を持つコスモポリタンであり、内戦による国土の荒廃と欧米列強による植民地化を最も恐れていました。そのため、徳川慶喜に政権を返上させる「大政奉還」を推進し、オールジャパンで近代国家を建設しようとしました。
対して西郷は、薩摩藩という巨大組織の運命を背負った政治指導者でした。徳川の力を完全に削がなければ真の近代化は成し遂げられないと見抜いており、最終的には戊辰戦争という血を流す決断を下します。龍馬の理想主義と西郷の冷徹な政治的リアリズム。この両輪が絶妙なタイミングで噛み合ったからこそ、幕府という260年続いた体制の崩壊が実現したのです。