人気ドラマ『孤独のグルメ』で主人公の井之頭五郎が訪れ、一気に全国区の知名度となった食堂をはじめ、港周辺にはメディアを賑わす有名店がひしめく。黄金色に揚がった大判アジフライや、甘辛いタレで照り煮にされた金目鯛の煮付けを頬張る至福は、誰もが一度は味わうべき体験だ。
しかし、舌の肥えた地元民が足繁く通うのは、メインストリートから一本外れた静かな路地裏に潜んでいる。インターネットの大手レビューサイト『食べログ』で点数が高騰している大箱店を横目に、古びた暖簾を掲げる小さな定食屋の引き戸を開けてみる。そこには、観光用に着飾らない本物の漁師メシが息づいている。
頼るべきは『Google マップ』の衛星写真と、地元客のリアルタイムな短評だ。鮮魚店の奥に併設された数席だけのカウンターで出される日替わりの刺身定食は、その日の水揚げ次第でタチウオやスズキ、地アジ、獲れたての生シラスが豪快に盛られ、驚くほどリーズナブルな価格で提供される。派手な盛り付けはなくとも、魚の旨味そのものが圧倒的な説得力を持つ。