日本国内における普及率が8割を超え、世界の衛生設備機器産業をリードする温水洗浄便座。1980年代以降、生活様式を一変させた技術革新は、今やグローバルな評価を獲得している。だが、機器の高性能化と普及が、予期せぬ使用習慣の歪みを生み出した側面も否定できない。
日本のトイレ文化を支えてきたのは、業界の二大巨頭だ。TOTO株式会社が展開する「ウォシュレット」と、株式会社LIXILが誇る「シャワートイレ」は、技術革新を重ねて水流の当たり心地や節水性を追求してきた。しかし、ノズルから噴射される心地よい水流に慣れ親しみすぎるあまり、本来は補助的であるはずの洗浄を「排便のたびに完全洗浄する行為」へと勘違いする利用者が増えてしまったのである。