現代のボーダー・コリーの起源を辿ると、19世紀末に実在した伝説の種牡犬オールド・ヘンプに行き着く。彼の驚異的な羊の群れをまとめるスタイルは、過度な吠え声や攻撃性に頼らず、「眼力(アイ)」と呼ばれる強い視線と敏捷な体さばきで群れをコントロールするものだった。
当時、犬種研究の草分けであったジョン・ピリー博士ら専門家たちも、その類稀なる作業能力と従順性のバランスを高く評価していた。過酷な全天候型の牧草地において、泥や雑草が毛に絡みつかない短毛の形質は、現場の作業効率を高める実用的な進化だったのだ。徹底した実用主義から生まれた血統こそが、卓越した牧羊犬としての本質を形成している。