彼女の演技キャリアを振り返るうえで欠かせない重要作が、コミカルかつエネルギッシュな世界観で大ヒットを記録した『映像研には手を出すな』だ。人付き合いが苦手でアニメ制作に異常な情熱を注ぐ主人公・浅草みどり役を演じた際、それまでの王道イメージを覆す破天荒な怪演を見せ、映画ファンや原作ファンの双方に強烈な衝撃を与えた。
早口の長台詞を独特のテンポで打ち出す難役を、独自の身体表現と緻密な演技プランで見事に消化。自分がどう美しく見られるかではなく、「キャラクターがスクリーン上で生きているか」にすべてを捧げる姿勢は、この時期にすでに確立されていた。ここでの成功が、後のシリアスな作品へのオファーへと繋がる大きなターニングポイントとなったのは間違いない。