刀鍛冶の里編で初めて本格的な戦闘シーンが描かれた時、無一郎はどこか冷徹で、他者に関心を持たない少年として登場した。河西はその「平熱の低さ」を、あえて抑揚を削ぎ落としたフラットな声質で表現した。しかし、記憶を取り戻した瞬間に見せた、年相応の少年らしさと、家族を奪われた怒りの爆発。この劇的な変化こそが、彼の演技力の真骨頂である。
多くの視聴者が驚かされたのは、そのギャップの自然さだ。急にキャラクターが変わるのではなく、心の奥底に眠っていた「本来の無一郎」が徐々に表層に現れてくる過程を、河西は繊細なニュアンスの積み重ねで表現してみせた。