なぜこれほどまでに申請のハードルが高く感じられるのでしょうか。そこには、ニュースやSNSでの炎上騒動が植え付けた強いスティグマ(恥の烙印)と、過去の窓口対応に対する不信感があります。
報道各社のドキュメンタリー特番や、当事者が発表した手記・自著のインタビューを紐解くと、申請に至るまでの壮絶な葛藤が浮き彫りになります。ある40代の元会社員男性は、うつ病で離職し生活保護を申請した当時の心境を、手記の中で『福祉事務所のカウンターに座り、これまでの職歴や通帳の残高480円を見せた瞬間、自分の人生そのものが社会から落第印を押されたような気がして、声を出さずに震えていた』と生々しく告白しています。
また、公の場や当事者集会で語られる証言では、窓口の担当者が見せた微妙な表情の翳りや、『まだお若いのに、本当にどこも働けませんか?』という何気ない発言のニュアンス一つで、申請書を受け取らずに帰ってしまうケースが後を絶ちません。
一方、SNS(Xや5ちゃんねる、Yahoo!知恵袋)におけるネットの反応を検証すると、世論は激しく二極化しています。
- 批判・炎上側の声:「真面目に働いて高い税金と社会保険料を取られているのに、医療費無料で暮らせるのは不公平だ」「エアコンやスマホを持って悠々自適に暮らしている受給者がいる」
- 擁護・当事者側の声:「いつ自分が病気や事故で倒れるか分からないのに、セーフティネットを叩くのは自分の首を絞めるのと同じ」「実際に受給しているが、毎月の収入申告やケースワーカーの訪問があり、決して気楽な生活ではない」
都内の福祉事務所に勤務する現役ケースワーカー(勤続12年)は、編集部の取材に対して次のように現場のリアルを語ります。
「ネットのニュースで一部の悪質な不正受給が報じられると、翌日から福祉事務所に抗議の電話が殺到します。しかし、私たちが現場で直面している現実はまったく逆です。電気もガスも止められ、栄養失調で倒れて救急搬送されて初めて福祉に繋がる人があまりに多い。『他人に迷惑をかけてはいけない』と限界まで自分を追い詰めてしまう真面目な人ほど、ネットのバッシングを見て窓口から足を遠ざけてしまうのです」