日本と韓国はいま、世界でも類を見ないスピードで超高齢社会の現実と向き合っている。「老後」という時間の使い方が社会的な問いとなる中で、彼の生き方は海を越えて強烈なインスピレーションを放つ。
バラエティ番組『花よりおじいさん』で見せたバックパッカーとしての姿を覚えている人も多いだろう。重い荷物を背負い、誰よりも早く歩き、言葉の通じない異国の街を地図片手に突き進む。そこには「高齢者だから配慮されて当然」という甘えは微塵もなかった。
社会が勝手に押し付ける「年齢相応」という枠組みを、彼は軽々と踏み越えていく。引退の時期を他人に決めさせる気など毛頭ない。足が動く限り、声が出る限り、台本を覚えられる限りは前に進む。その泥臭いまでの実存主義は、先行きの見えない時代を生きるあらゆる世代の背中を無言で押し続ける。