猿沢池を訪れる観光客を最も魅了するのが、水面に周囲の風景が映り込むリフレクションの美しさです。特に池の南東岸から北西を望むアングルは、手前の柳、静かな水面、そして小高い丘の上にそびえる興福寺五重塔を一枚のフレームに収めることができる奈良屈指の写真撮影スポットとして知られています。
風のない穏やかな晴天の日には、鏡のような水面に五重塔がくっきりと上下対称に映し出される「逆さ五重塔」を捉えることができます。なお、興福寺五重塔は現在、令和の大修理事業が進められていますが、歴史的瞬間を見守る景観として、修理の推移とともに記録に残す写真愛好家の姿が絶えません。
日没を迎えると、池の周囲は昼間とは異なる表情を見せます。周辺の街灯や五重塔周辺のライトアップによって池全体が黄金色に輝き、水辺のベンチには夜風情を楽しむ人々が集まります。夕暮れから夜にかけてのグラデーションは、古都の静寂を心ゆくまで味わえる特別な時間帯です。