「愛犬のために毎日手作りしていたのに、骨密度が著しく低下していた」「毛並みがパサつき、元気がなくなった」。動物病院の診察室では、愛情深い飼い主ほどショックを受ける事態が起きています。臨床現場の獣医師監修データでも、独自配合の手作り食を長期間続けている犬の約8割に何らかの必須栄養素の過不足が見られるという警告が出されています。
最大の落とし穴は、人間と犬の生理機能の違いを無視した献立です。犬は人間よりもはるかに多くのカルシウムを必要としますが、肉類単体にはリンが多くカルシウムが極めてわずかしか含まれていません。骨ごと食べさせない手作り食を何ヶ月も与え続けると、骨からカルシウムが溶け出し、骨折や骨粗鬆症を引き起こします。
また、犬の手作りご飯で下痢の理由として最も多いのが、消化機能のキャパシティを超えた急激なメニュー変更です。市販フードで一定に保たれていた腸内細菌叢が、急激な食物繊維や脂質の変化に対応できず、消化不良を起こしてしまいます。手作り食は決して「人間の食事の余りを与えること」ではないと肝に銘じる必要があります。