まずは言葉の正確な定義から整理していきます。「思案中」の読み方は「しあんちゅう」です。「思案」という名詞に、動作や状態が継続していることを示す接尾辞「中」が連なった構成になっています。
辞書的な定義において、「思案」には次のような意味が存在します。
1. あれこれと考えをめぐらすこと。工夫を凝らすこと。
2. 心配すること。気にかけること。
3. どうすればよいか判断に迷うこと。
つまり、思案中の意味とは単に「思考のプロセスにある」ことだけでなく、「どうすべきか迷い、頭の中で個人的にあれこれと知恵を絞ったり思い悩んだりしている状態」を色濃く反映しています。
ここで問題となるのが、ビジネス敬語としての適格性です。結論から言えば、ビジネスの公的なやり取りにおいて、目上の人や取引先に対して「現在、企画案について思案中でございます」と伝えるのは避けるのが賢明です。
「思案」はきわめて主観的・情緒的な内省行為を想起させます。そのため、受け手には「単に一人で腕を組んで悩んでいるだけではないか」「客観的な検証や作業が進んでいないのではないか」という曖昧さや頼りなさを感じさせてしまう原因になります。目上の人に対する返答としては、敬意の不足というよりも「ビジネスパーソンとしてのプロフェッショナリズムに欠ける」という印象を与えやすい点が最大の落とし穴です。