公式発表の統計値だけでは見えてこない、現場を走るドライバーたちの切実な証言に耳を傾けると、伊勢湾岸道特有の過酷な走行環境が浮き彫りになります。長年、中京・関西間の定期便を担当する大型トラックドライバーは次のように実情を語ります。
「夜間の名港トリトンは、風速計の数字以上に恐怖を感じます。橋の主塔を通過する瞬間、それまで遮られていた横風が突風となって一気に車体を横へ押し出すんです。空荷のトレーラーだと、一瞬で車線半分ほどスライドさせられることもある。後ろから迫る後続車の車間距離が詰まっていると、生きた心地がしません」
また、SNSやドライバー専用のオンラインコミュニティでも、日常的にリアルな悲鳴が飛び交っています。知恵袋や掲示板の書き込みを分析すると、「刈谷ハイウェイオアシスに立ち寄ろうとしたら分岐路の手前から全く動かず、本線に戻ることもできずに1時間閉じ込められた」「事故の電光表示が出てからわずか5分で完全停止。名港中央ICの手前で逃げ場を失った」といった体験談が散見されます。
これら一次情報の蓄積が示しているのは、伊勢湾岸道が「逃げ道のない高架高速道路」であるという事実です。インターチェンジ間の距離が比較的長く、側道や退避スペースに乏しい構造が、トラブル時のドライバー心理を極度に追い詰める要因となっています。