漫画の実写化において、最も高いハードルとなるのがキャラクターの「説得力」だ。特に四乃森蒼紫という男は、冷徹な仮面の裏に仲間への狂気的なまでの愛情と執着を秘めた、極めて複雑な内面を持つ。伊勢谷は、その二面性を言葉ではなく、ただそこに立つ佇まいだけで表現してみせた。
スクリーンに彼が映し出された瞬間、劇場の空気が凍りつくような感覚を覚えた観客は少なくないはずだ。長身から繰り出される小太刀二刀流の美しくも容赦ない軌道は、スタント任せではない本物の説得力を放っていた。ただ格好良いだけではない。内に秘めた孤独と哀愁が、彼の演技からは確かに滲み出ていた。