バックネット裏でスピードガンを構えるスカウトたちの数字が、一瞬固まった。球速表示は「152km/h」。だが、本当に打者を打ちのめしているのは、数値以上の体感速度だ。低いリリースポイントから一気に伸びてくるストレートは、打者の目線には浮き上がってくるようにすら映る。
直球と同じ腕の振りから繰り出される縦のスライダーが追い打ちをかける。カウントを整える緩やかな曲がりと、追い込んでからストライクゾーンからボールゾーンへと急降下する2種類の変化球。打者からすれば、狙い球を絞る余裕など微塵もない。「直球に張りながらスライダーに対応するのは物理的に不可能」とライバル校の監督すら脱帽する完成度だ。