ドライアイスを処分する過程で目に見えない脅威となるのが、二酸化炭素中毒(高炭酸ガス血症)および酸素欠乏症です。二酸化炭素は無色無臭の気体であるため、濃度の上昇を五感で察知することは困難です。
空気の平均分子量が約29であるのに対し、二酸化炭素の分子量は44であり、空気の約1.5倍の比重を持ちます。気化した炭酸ガスは天井方向へは逃げず、床面や部屋の低い場所、くぼみへと沈降して滞留する特性があります。
この特性がもたらす最大の危険が、床近くで生活する小型犬や猫などのペット、およびハイハイ期の乳幼児への影響です。成人が立っている位置では息苦しさを感じなくても、床面付近では二酸化炭素濃度が数パーセント以上に達し、ペットが意識を失ったり呼吸困難に陥ったりする危険があります。ドライアイスを室内に置く場合は、床への直置きを避け、換気扇の稼働と窓開けによる空気循環を徹底してください。
また、要冷品を自動車で運ぶ際、密閉された車室内にドライアイスを放置したままエアコンを「内気循環」にして運転すると、わずか十数分で車内濃度が危険水準に達し、頭痛や眠気、意識障害を引き起こす原因になります。車内搬送時は必ず窓を少し開けるか外気導入モードに設定してください。