小野田氏の後半生を語るうえで欠かせない存在が、妻の小野田町枝(旧姓・緒方)さんです。町枝さんは茶道の師範を務めるなど教養が高く、自立したキャリアを持つ女性でした。帰国後、マスコミの過熱取材や好奇の目に晒され、人間不信に陥りかけていた小野田氏を深く理解し、精神的な支柱となったのが彼女でした。
1976年の結婚後、町枝さんは小野田氏がブラジルへ移住する際も迷うことなく同行を決意。言葉も通じずインフラも整っていない南米の荒野へ飛び込み、慣れない環境のなかで夫を全力で支え続けました。
町枝さんは単なる「内助の功」にとどまらず、後に設立される小野田自然塾の理事を務めたほか、女性の社会進出や伝統的価値観を守る社会運動(日本女性の会会長など)にも尽力しました。小野田氏が2014年に91歳でこの世を去った後もその遺志を受け継ぎ、2026年に85歳で逝去するまで、夫の理念を後世に伝える活動を続けました。