兼六園という名は、中国の宋代の詩人・李格非が著した『洛陽名園記』に由来する。「宏大(こうだい)」「幽邃(ゆうすい)」「人力(じんりょく)」「蒼古(そうこ)」「水泉(すいせん)」「眺望(ちょうぼう)」という、本来ならば対立しがちな六つの景観上の特徴を兼ね備えていることから名付けられた。
広々とした敷地(宏大)でありながら、一歩奥へ入れば静けさと深み(幽邃)が広がる。人の手が細やかに加わりつつも(人力)、古びた樹木や苔が深い味わい(蒼古)を醸し出す。園内を巡る曲水のせせらぎ(水泉)と、遠く白山連峰や金沢市街を見渡す絶景(眺望)。これらが破綻することなく調和している点は、加賀藩主たちの並々ならぬ美的執念の賜物といえる。