AIによるリアルタイム補正技術は、この数年で劇的な進化を遂げた。かつてのような「不自然な盛り」ではなく、まるで最初からそうであったかのような「極めて自然な美化」が可能になった。これが罠だ。画面の中の美しい自分をデフォルト(標準)だと脳が誤認してしまう。その結果、デバイスの電源を切った瞬間に突きつけられる現実の肌の質感や左右の非対称さに、激しい拒絶反応を示すようになる。
臨床心理士の指摘によれば、これは一種の身体醜形障害(BDD)の現代版だという。テクノロジーが進化すればするほど、生身の人間が持つ「ゆらぎ」や「ノイズ」が排除すべき悪として捉えられてしまうのだ。