なぜ、これほどまでに無機質な空間が世界中の人々を魅了するのか。キーワードは「リミナルスペース(Liminal Space)」だ。本来は移動の途中にある過渡的な場所——真夜中の誰もいないショッピングモール、無人のオフィスビル、誰も乗っていない地下鉄のホーム——を指す言葉だが、そこには独特の郷愁と不安が同居している。
心理学の専門家は、過剰な情報と常時接続に晒される現代人が、この「絶対的な孤独」に対して相反する感情を抱いていると指摘する。つながりすぎた社会への疲れ。そこに突如提示される、人間関係もSNSの通知も存在しない黄色い部屋。恐ろしいはずの迷宮が、皮肉にも現代人にとっての一種の避難所(アジール)のような錯覚をもたらしているのだから面白い。