長谷川芹奈の真骨頂は、精密なピッチコントロールと、聴く者の感情をダイレクトに揺さぶるダイナミクスにある。数人で声を重ね合わせるアカペラの現場で長年鍛え上げられてきたからこそ、彼女の声には複雑な倍音成分と豊かなディープネスが宿っている。
ソロとなった現在、その歌声はよりプライベートで濃厚な響きを帯びるようになった。ソロ楽曲では、複数人でパートを分担していた時代とは異なり、一曲全体の空気感やストーリーテリングを一手に引き受ける。アカペラ時代に培ったアンサンブル感覚が、逆にソロでの空間構成力を高めるという化学反応を起こしているのだ。