「一度使用されたマスクは、細菌とウイルスの培養液のようなものだ」
感染症対策の最前線で警鐘を鳴らし続けてきた尾身茂氏は、取材に対して強く注意を促す。唾液や鼻汁が付着した不織布は、湿度が保たれた環境下では黄色ブドウ球菌やインフルエンザウイルス、さらには未知の病原体が一定期間生存し続ける。それを他人が素手で触れたり密閉空間で保管したりする行為は、生物学的に極めて危険な感染源を自ら抱え込むことに他ならない。
また、日本感染症学会などで発言を続ける岡田晴恵教授も、別の側面から懸念を表明する。「現代の衛生用品産業が誇る高性能フィルターは、微粒子を捉える力が強い分、着用者の皮脂やDNA情報をも保持してしまう。公衆衛生の観点だけでなく、個人の生体情報が第三者の手に渡るリスクについても重く受け止めるべきだ」