日本の刑事訴訟法には3種類の身柄拘束形態が存在します。ニュースを正確に読み解くためには、それぞれの決定的な違いを押さえておくことが不可欠です。
まず、実務上最も多い通常逮捕との違いは「逮捕状が手元にあるか否か」という点にあります。通常逮捕(刑訴法199条)では、捜査機関が事前に証拠を揃えて裁判官に令状を請求し、発付された逮捕状を被疑者に提示して執行します。被疑者に逃走や証拠隠滅の恐れがあるものの、時間的な猶予がある場合に適用される標準的な手続きです。
一方、現行犯逮捕との違いは、犯行の瞬間との時間的・場所的近接性にあります。現行犯逮捕(刑訴法212条・213条)は、「現に罪を行い、又は行い終つた者」をその場で拘束する手続きであり、令状なしで警察官だけでなく一般人(民間人)でも行うことが可能です。犯人と犯罪事実が明白であるため、誤認逮捕のリスクが極めて低いと考えられているからです。
これらに対し、緊急逮捕は「過去に行われた重大事件の犯人である疑いが濃厚だが、犯行現場からは離れており、現行犯には当たらない。しかし令状を取る時間はない」という間隙を埋める制度です。一般人による逮捕は認められておらず、検察官、検察事務官、司法警察職員のみに権限が限定されています。