乾燥小豆を家庭で煮る際、誰もが直面する疑問が「アク(渋み)をどう取り除くか」という点です。小豆の表皮には良質なポリフェノールが豊富に含まれる反面、サポニンやタンニンといった苦味・収れん味の成分も存在します。これらを適切に取り除く工程を「渋抜き(ゆでこぼし)」と呼びます。
プロが実践する小豆の渋抜きにおける簡単な方法は、至ってシンプルです。
- 水洗いした小豆と、小豆の重量の約3〜4倍の水を鍋に入れて強火にかける。
- 沸騰して泡が立ち始めたら弱中火に落とし、3〜5分間グラグラと煮立たせる。
- 火を止め、ザルに豆をあけて煮汁をすべて捨てる(この工程が「ゆでこぼし」)。
- 豆を流水で擦り洗いせず、優しくぬるま湯にくぐらせて鍋に戻す。
現代の流通小豆(北海道産「エリモショウズ」や「きたろまん」など)は品種改良が進み、昔の小豆に比べて渋みが大幅にマイルドになっています。そのため、ゆでこぼし作業は1回のみで十分です。2回も3回も煮汁を捨ててしまうと、小豆本来の芳醇な風味や抗酸化物質まで失われて味がぼやけてしまいます。
渋抜き後の本煮工程では、小豆を煮る時間の目安として弱火で約40分〜50分を確保します。火加減は「豆が水面で激しく踊らず、ゆったりと浮き沈みする程度」を維持するのが鉄則です。強火で煮立て続けると外皮が摩擦で破れ、煮汁が濁る原因になります。煮汁が蒸発して豆の頭が空気に触れると硬化するため、途中で湯が減ったら必ず「差し水(湯)」をして、常に豆が煮汁に浸っている状態を保ちます。