そもそも、アスペルガーという名称は20世紀半ばに小児期の独特な行動パターンを報告したオーストリアの小児科医、ハンス・アスペルガーに由来する。かつては独立した診断名として用いられていたが、医学の進歩に伴い、現在では自閉スペクトラム症 (ASD)という広範な連続体(スペクトラム)のなかへ包含されるようになった。
世界保健機関(WHO)が改訂を重ねる国際疾病分類(ICD)や米精神医学会の診断基準においても、カテゴリーによる明確な線引きから、グラデーション状の特性把握へとシフトしている。手のひらのシワという物理的な特徴で人の内面や脳のタイプを二分することは医学的に不可能だが、境界線の曖昧な生きづらさを抱える現代人にとって、シンプルで分かりやすい手相の分類が心の拠り所となっている側面は否定できない。