そもそも「草餅」の起源は、平安時代以前にまでさかのぼる。当時は春の行事である「上巳の節句」において、邪気払いの目的で草餅が食べられていた。だが、驚くべきことに、その時代に使われていた草は「ヨモギ」ではなく「ハハコグサ(母子草)」だったという。
ハハコグサは春の七草の一つ「ゴギョウ」としても知られる身近な野草だ。しかし、平安中期から室町時代にかけて、使用される野草は次第にヨモギへと取って代わられた。「母と子を共に突く」という連想が縁起上好ましくないとされたことや、ヨモギが持つ高い栄養価や強い薬効、香りの強さが評価されたことが主な理由とされる。こうした植物と人間の深い関わりについては、NHKの連続テレビ小説でも話題となった日本の植物学の父・牧野富太郎の膨大な研究資料にも詳しい。