女将の一日は、力士たちの誰よりも早く始まる。買い出しの手配、献立のチェック、そして後援会関係者からの電話対応。これらを午前中のうちにこなしつつ、午後は部屋の経理や事務作業に追われる。相撲部屋の経営は、一般的な中小企業と何ら変わりない。むしろ、個性派揃いの若者たちを住み込みで抱える分、その苦労は倍以上だ。
特に頭を悩ませるのが、力士たちの「食」だ。ただ大量に食べさせればいい時代は終わった。現代の相撲界では、栄養学に基づいた食事管理が求められる。高タンパク・低脂質を意識したメニューの考案や、怪我の予防につながる食材選びなど、女将の知識と工夫がそのまま力士たちの体づくりに直結する。台所を仕切る彼女の背中は、まさに部屋の「第二の司令塔」そのものである。