墨汁をシンクや洗面台に流してはいけない最大の理由は、墨汁をシンクに流してはいけない理由の根幹である「原料の結合力」と「微粒子の性質」にあります。現代の墨汁の多くは、超微粒子であるカーボンブラックを水に分散させ、定着剤として膠(動物性タンパク質)や合成樹脂エマルジョンを添加して作られています。この定着成分が排水管の内側に蓄積した皮脂や石鹸カス、油汚れと混ざり合うと、粘着性の高い頑固なヘドロへと変化してしまうのです。
さらに、目皿やS字トラップの継ぎ目に墨汁が入り込むと、排水溝の詰まり・黒ずみ対策において最も厄介な「配管内部の硬化」を引き起こします。放置すれば水の流れが悪くなるだけでなく、最悪の場合は配管交換などの高額な修繕費用が発生しかねません。また、陶器や人造大理石、ステンレスの微細な凹凸にカーボン粒子が入り込むと、スポンジで擦った程度では落ちない黒ずみ汚れとして定着してしまいます。
もし誤ってシンクに流して色がついてしまった場合は、シンクについた墨汁の落とし方として以下の応急処置が有効です。
- ステンレスシンクの場合:研磨剤入りのクリームクレンザーやメラミンスポンジを使い、金属の研磨目に沿って優しく擦り落とします。
- 人造大理石・陶器ボウルの場合:メラミンスポンジは表面のコーティングを傷つける恐れがあるため、重曹に少量の台所用洗剤を混ぜたペーストを塗り、ラップでパックしてから柔らかい布で拭き取ります。