なぜ、富山でガラスなのか。その歴史を紐解くと、江戸時代から続く「富山の薬売り」に突き当たる。かつて薬品を入れるガラス瓶の製造がこの地で盛んに行われ、職人たちの高い技術が地域に根付いていた。昭和の終わり、産業構造の変化に直面した富山市は、その伝統的なガラス技術をアートへと昇華させる一大プロジェクトに打って出たのだ。
1991年に創立された「富山ガラス造形研究所」は、世界中から若きクリエイターが集まる登竜門となった。職人技の継承にとどまらず、最先端の表現を模索する環境を街全体で育んできた歴史。その集大成として結晶したのが、今の姿にほかならない。歴史の必然と行政の未来志向が見事に合致した稀有な例と言えるだろう。